毎週土曜日だけ営業する産地直送の魚屋。
双子みたいなおばあちゃん二人が冷凍ケースに寄りかかり、
けだるそうに抑揚のない声でしゃべっていた。
「遅いわねぇ〜、私たちのお刺身」
「そうだわねぇ〜、海に網をしかけに行ってんのよ」
「そうだわねぇ〜、あらあの赤ちゃん色白ねぇ〜」
「そうだわねぇ〜、私たちの時はどうだったかしらねぇ〜」
「忘れたわねぇ〜」
「忘れたわよねぇ〜」

刺身を待つ時間を潰すためだけの、よそ見しながらのキャッチボールが続く。
熟練のコンビプレー。
ボールを落とす事なく、周囲の人々を時々巻き込みながらプレーは続く。
また来週もいるといいな。あの二人。

050625