私の口元には小豆の汁がついたみたいなほくろがある。
自分からは見えないので、気にもしていないが、
たまに「あれ?何かついてるよ。」と指摘されてしまう、
拭けば消えそうな情けないほくろだ。

保育園で小春と同じクラスのさくらちゃんに
「それ、何?」と聞かれたから、「お豆だよ。食べる?」と言って口に入れてやる真似をした。
それ以来さくらちゃんは、毎朝、私を見つけると「お豆ちょうだ〜い!」と走ってくるようになった。
ある時、保育園の先生に「お豆?何ですか?」と聞かれ、
「ほくろです。」「あ、……」と、気まずい空気が流れて面倒くさかった。
昨日さくらちゃんがいつものように「お豆ちょうだ〜い!」とやってきた。
いつもは職員室にいる年輩の主任の先生が、いつになくはしゃいで、
「え?何?お豆?先生もちょうだ〜〜い!」とおどけて走ってきた。
私は、いつものようにほくろを取る真似をせず、
うやむやな感じで先生にもお豆を食べさせてあげました。

070403