小春が決めた期限まであと1ヶ月だった。
「3歳になったら」は軽く破られ、「れんげさん(保育園の進級)になったら」に期待していた。おっぱいへの執着は日を追う毎に増し、夜は新生児並みに2時間置きに飲んでいた。小春におっぱいをあげる事が、泣きたくなるほどつらい日もあれば、平気な日もあった。私の身体を心配して断乳を奨める夫の言葉も、耳に入らなかった。他人からの「やめなよ」という助言も「自分からやめるまでがんばって」という励ましも疎ましかった。最初の卒乳の後、寝かせるのが大変だったのも頭にあったし、『「○○になったらやめる」と自分で決めてやめました』というのに固執していたのもある。「待てる親」になりたかったのかも。なんとなく、小春へのおっぱいが続いていた。
 「小春も家族なんだから、ちゃんと話し合おうよ。」
この夫の言葉でようやく決心が着いた。「待つ」ことで小春のことを尊重している気分でいたけど、家族として本気で話をする方が人間として対等だと思った。
「お母さんは、小春におっぱいをあげることで身体がとても疲れている。小春のこと、大好きでいっぱい一緒に遊びたいから、もうおっぱいをやめよう。」というような話をした。小春は横を向いて返事をしなかったし、その夜は2回起きておっぱいを求めて泣いた。でも翌日からは、文句(かわいい)を言うだけになり、ちゃんと眠れるようになった。朝までぐっすり。
 今回の卒乳で、私も少しだけ親になれた気がする。

080310

小春ちゃん、永きに渡りご愛顧頂き、ありがとうございました。(店主)